第7章|万華鏡モモ竜の牙そしてマスターより

マスターより

 みやたです。みなさま、長い間お疲れ様でした。これでこの物語はおしまいです。
お付き合いいただけまして、みやたは幸せでした。そして愛されたキャラクターたちに代わり、厚くお礼を申し上げます。ほんとうに、ありがとうございました。

 さてさて。ということで8月10日、日曜日の夜、こちらで記念チャットを行います。ぜひいらしてくださいませ。チャットルームは8月いっぱいの、期間限定オープンです。みやたが確実にいるのは10日夜だけで、あとは未定なんですが、いないときでもご自由にお使いください(※ログは残ります)。

 それと、物語のその後を簡単にまとめた「番外編」、今回もあります。あのあとキャラクターはこんなことしてます……というアクション(?)を送ってもらえれば幸いであります。
 それでは、また《大陸》でお会いできることを願って。
 ありがとございました。

登場人物解題

シャッセ
フランス語でchasser。狩りたてる、狩りをするの意。当初「弓をひく乙女」というイメージがあったため。
一人称が僕なのは、年齢の割に成熟していない、不安定な部分がある=初めて身近に現れた優しい男性に一目ぼれしてしまうという危うさも出せたかな……あとはリーフと意図的に人称が同じになるように設定しました。
モース
賢者という役どころから、名前だけはなんとなく決まっていた人。ドイツ語でMorgenstern、明けの明星です。
賢者と呼ばれていても、その実深く悩んでいたり、迷いがある人もいるだろうということで、悟りには程遠い賢者様でした。彼の役目は、キャラクターたちをサポートし(ときには守るべき対象として足手まといにもなり)、最終的に過去を清算することでした。そのためにディルワースに移住してきたはずなのに、それをすっかり忘れていたおまぬけさん。清算の仕方はまあいろいろあったでしょうけれども……。
ボーペル
フランス語でbeau-pere。義父(そのまんま)。
イメージははちみつ壷を抱えたクマとか、ドラクエのトルネコとか。同期が美形ぞろいなのもつまんないですし。これからさみしくなりますね。
フューガス
フランス語でfugase。形容詞で儚い。
モモにとってはアングワースと並び「愚かな王」。首尾一貫していて書きやすかった人です。こんなんでも、もちろんエシャンジュのことを愛していたんですよ、彼なりに。一般的な愛し方を知らなかっただけで。
彼にとっても清算の方法はいろいろあったでしょうが、過ちを認め、エシャンジュを認めたのはマスターの予想外でした。
エシャンジュ
フランス語でechanger。交換、代価、代償の意。
彼女は自分自身に縛られていました。そのことを見抜いたキャラクターたち、さすがです。彼女は自分では選ぶことができません。ラストでようやくフューガス(=クーレルの解放)を選べたのです。
でも、こういう女性ってどうよ!?(笑) 終わりよければ……かもしれませんが。罪深い人です。アーメン。
アングワース
フランス語でangoisse。激しい不安の意。
モモにとっての「愚かな王」のひとり。宿敵と取引したわけですからね。モンスターあるいは異種族の中で、竜を別格に扱う物語は多いわけです。世界において最強たることを義務付けられた存在、でも最強ってどういうことだろう。相手なしには存在しえないのではないか。というところから、《大陸》における《貴石の竜》《捨石の竜》の設定が生まれました。
アングワースという語感が気に入っていたので、どこかで使いたかったんです。ディルワースの名前は、アングワースとの語呂だけで決定。《まことの国》アングワースと地上のディルワース、という対立構造を考えていました。
モモ
フランス語で悪夢を意味するmauvais râ ve(モーヴェレーヴ)から。
そのまんま、子悪魔ちゃんです。キャラクターたちを翻弄するキュートな子役(笑)として登場。でも伊達に長生きしているわけではなく、相当したたかですね。
リーフ
はじめから名前はありませんでした。フューガスが、名前をつけることを許さなかったのです。
リーフの名の由来は、ケルト神話の主神ルー(リーフ)だそうです。クーフーリンの父、光槍プリューナグを持っている神様ですね。ディルワースの森の一葉にも通じ、いい名前だと思います。彼の血筋からは、竜王の血を引く人間が生まれたかもしれません。
《白馬の君》
王子様の典型。本来リーフが成長するはずだった姿。シャッセに愛情をそそぎまくるのは、兄としてはもちろん、自分自身への代償行為もあったかと。なのでシャッセに(勝手にも)ディルワースをおしつけます……。
グレイ
キャラクターたちにとっての(無茶な)先達として、物語上の敵および目的を明らかにさせるために登場(前作における巡礼さんですね)。キャラクターどうしの過去を結びつける役割もありました。こういう単純な人が、どうして盗賊団なんぞを組織できたのか……やはり魔法の力は偉大です。

個別メッセージ

■カミオ・フォルティゴ
シャッセの手紙の内容は推して知るべし。これからは夢の中へも配達できる郵便配達人として、名を馳せるのでしょうか。配達お疲れさまでした。
■ルナリオン
夢魔道士が存在している以上、《悪夢の軍勢》(あるいは《原初の炎》)の力を知らずに引き出している人間は多いのかもしれません。フューガスが満足したことで、モース自身も、自分の役目は終わったと思ってしまったのですね。隠れ里レーヴ・レースは、随分と標高の高いところにあるようです。《まことの国》とつながっているのかもしれないな、なんて後から思ってみたり。
■ジェラ・ドリム
帰国してもここでの出来事をぜひ思い出してほしいです。いずれジェラさんも、選択を迫られる場面に出会うかもしれません。麒麟さんなら、頼めば国に遊びに来てくれそうですけどね。
■ミュー&カロン
光の卵はご自由にお持ち帰りください。中から何が生まれてくるのか、それはミューさんのお祈り次第……。そういえばカロンさんの身体は、夢魔の空間(《まことの国》)にいる間だけ人間に戻ったという設定でマスタリングしてたのですが、どうします? 猫に戻りますか?
■ディルウィード=ウッドラフ
ローズ・マリィさんはそれと分かりましたが、ディルウィード、ウッドラフという名のハーブがあるとは知りませんでした。たしかに不思議な偶然です。魔法はラストになってしまいましたが、ちゃんと使えました。《終末の氷》は今後どこかで使えそうです。描写がリーフ関連になってしまってすみませんでした。書ききれなかった部分は番外で……。
■コルム・バルトロー
最後までじゃじゃ馬のお相手をしてくださってありがとうございました。これまでシャッセの私的な部分、王族という立場を越えて深い部分に接してきた人間は、旅人たちの他にはいなかったのですね。彼女の脆いところは、すぐに絶対的な信頼を寄せてしまうところです。為政者としては致命的でしょう。これから大人になってゆくにあたって、いろいろ学んで武装していくのかもしれません。シャッセ、ちょっとは大人になったようです。
■ミスティ=デューラー
具体的な手段が書かれておりませんでしたので、こういう結果となりました。辛い思いをした人もいるかもしれませんが、登場人物たちはそれぞれ本懐をとげたと思われますので、まあよいのではないかと。王子は人間を選んでいたからこそ、《竜》を選んだのです。《竜》の血をひいている人間は他にもいるでしょうし、やがて再び《貴石の竜》たちが《大陸》の空を飛翔するときがくるかもしれません。
■フィリス
深いところまで書ききれなかったような気がします。グレイがフィリスさんの村を襲った理由や、指輪の秘密についても絡ませればよかったですね。リーフは自分の居場所を見つけ、それゆえに滅ぶという結果になりましたが、フィリスさんにもよき場所が見つかるといいなと思います。なんと言っても、まだまだ道は続くのですから。
■ローズ・マリィ
リュカさんのアクションによりすでにモモが消えておりましたので、結果がこのように変わっております。《竜の牙》使用の反動を受けておりますが、安静にしていればちゃんと回復します。魔神は登場しませんでしたが、宝石言葉「真実」は、《まことの国》の設定ともあいまって非常に活きました。ディルウィードさんの真意については、「番外」で補足を……。
■クーレル・ディルクラート
エシャンジュはフューガスに許された時点で、彼の愛情を受け入れ、結果を知りながら彼と共に消えることを選びました。クーレルさんにとってはめでたしめでたしじゃないのかも。でもエシャンジュは幸せでしたよ(その幸せは彼女だけのものだったかもしれませんけど)。他のキャラクターさんたちは、おふたりが愛の逃避行をなさると思っていらしたようですが、意外とクーレルさん、一歩引き気味でしたね。やはり魔導操師の立場がそうさせるのか。
■ゴド・シシュー
今回はグレイがろくでもない行動をあまりとらなかったのと、早々にモモが倒れてしまったので、少し描写少なめになってしまいました。犯罪者は犯罪者らしく裁かれる、と。彼らと出会ったことが、これからのゴドさんの糧になったらいいなと思います。そして水の魔法を使う場面が書けませんでした。残念。
■フォリル・フェルナー
後処理まできちんとしてくださってありがとうございます。もともと領主制(しかも領主があんなの)でしたから、体制が変わっても街人たちはさほど動揺しなかったのではと思われます。多分最初は、シャッセとあと二人くらいで寡頭制になるような。フューガスがその場にもしいたら、売国王のそしりは甘んじてうけたでしょう。エシャンジュを認めるくらいですから。それはそれでドラマティックだったのですが、主要メンバーがいなくなってしまったため、ちょっと簡素になりました。
■エルム=アムテンツァ
審問途中で相手がいなくなった場合というのはどうなるのでしょう。力は《門》に還ったことになるのでしょうか。今回はアクションで選べない、選ばない人が何人もいました。選択をつきつけられたときに拠り所があり決断できること、選択と引き換えに何かを失うこと、選ばないかわりに今あるものを守ること。その場にいた全員の行動の結果、旅人たちが帰還できたわけなので、裏方ですが意味のある行動だったかと。描写は少なくなってしまいましたが。
「他人が進んでいく道のりは肯定しても、それについていくことが無い」というエルムさんの性格は、ほんとうにゴドさんと対象的だったですね。いいコンビでした。
■オシアン
ベストを尽くしてくださってありがとうございました。リーフのことは、他の方のアクションが優先してあのようになっております。確かに保護者(とシャッセ)にとっては、厳しい結果になってしまったのですが。アングワースにとっての戦いと鎮魂、《竜の牙》の理由等、まさにそのとおりです。
ローズさんと同じく、休養の後はちゃんと回復します。フォリル先生とのお約束どおり、バーラットの地への旅が待っていますから。
■リュカ・シー・オーウェスト
キュルが麒麟の姿をとっているのは《まことの国》でだけです。《大陸》に戻ってくれば、彼女はまたフェレットのような姿に戻りますので、肉球も復活します。その後、麒麟を召喚できるかどうかは、キュルの気分次第ですね。あと、しばらくの間ですがアングワースをその身に宿していますので、もしかしたら今後何かの影響が出るかもしれません……翼が生えたりとか。
■アーシュ・ノワール
空飛ぶ敵との戦闘はやっぱ不利ですね。地上の人間は。《竜の牙》はルナリオンさんが持っています。売り払っていなければ。うまくいけば余るだろうと思って設定していたのですが、フューガス、エシャンジュ、リーフ(王子)のそれぞれのために三本という数字でした。前作といい、3つながりが好きです。バランスがいい数字なので。
■ベネディクトン・ヴァリアント
モースは《まことの国》(夢魔の空間)の魔法陣の中です。もしかして運がよければ夢の中で会うこともあるかもしれません。出口のない空間の中でひとり、子猫ちゃんたちのことを考えていたりして。……あまり何も変わらなさそうです。
■ソロモン・ウィリアムス
リーフの役目はしかるべきときに選択すること。過去を見つめ、可能性を見出すことは、まわりの助けがあれば難しくないんだよ、というような感じですね。
■レイス
時の大津波に流された《水流弦》は、いずれどこかで再びめぐりあえるでしょう。フューガスにエシャンジュを認めさせるとは、さすがです。このふたりは一生分かり合えないままだと思っていましたので。分かり合えるって幸せです。だからこそシャッセには幸せになってほしいです。

第7章|万華鏡モモ竜の牙そしてマスターより