第7章|承前多重の岐路花咲ける庭受け継がれたもの薔薇色の道優しい歌マスターより

マスターより

 お待たせしました! 書きたいことがいっぱいありますが、まずは一言。ここまでおつきあいくださって、本当にありがとうございました。今回第7章を書くにあたり、私も悩みましたが、登場人物ももっとたくさん悩みました。それでも登場人物全員が救われた(であろうと思われる)結末を迎えることができたのは、参加してくださったみなさんとみなさんのキャラクターのおかげです。
 ……えーと本当に長いんです。ごめんなさい。お時間が許す時に読んでくださいませ。あと今回遅刻は厳しめに判定しました。
 ねたばれを含むもろもろのコメントは後から書き足すこととして、取り急ぎお伝えしたいことはこれだけです。あ、あと想像がついていた方もいらっしゃると思いますが、PCチャットのイベントは「《精秘薬商会》にて結婚式(の続き)」となります。イベントページも更新する予定ですが、参加したいキャラクターは「何かお祝いの品あるいは芸」を考えてきてくれると嬉しいです。

 あと最終章について。物語終了後、こんなことしてるよーとかそういうのをまとめて最終章といたします。エピローグというやつです。物語の後始末をしたり、ミゼルドから旅立ったりetc,. すでにネタをくださった方もいらっしゃいますが、PC&PLチャット後にまた受け付けますので、思いついたことがあれば送ってくださいねー。

 それではまた《大陸》でお会いしましょうー。

登場人物解題

セイエス
チャゲアス「SAY YES」→セイエス。いきなりこんなネーミングでごめんなさい。
世間知らずなお坊ちゃんが、どうやって「考えること」「世界を知ること」を学んでいくのか。その過程で出会う(出会ってしまう)マンドラゴラと信仰との折り合いをどうつけるのか。そういうことを描きたかったNPC。みなさんのフォローのおかげで、立派に成長しました。その成長ぶりはハルさんの個別や7章で。
バウト
ハゲタカVultureから命名。謎音を出すドアベルは趣味です。ミゼルドの一般人代表で、セイエスを最初は導き、後には巻き込む。序章で「白い少女が見えました」とセイエスに言われた時、相当驚いていたはず。嘘が下手なのはマンドラゴラとのつきあいが長いからか。キャラクターたちが結婚式をセッティングしなかったら、いつまでも「すぐ側で見守っているよ」的ポジションに甘んじていそうな感じ。おめでとう。
イオ
イタリア語でio。英語で言うところの一人称「I」。確立された自我を持ち自立しているイメージから。
「望んで聖職に」「望んでミゼルドへ」とセイエスとは真逆の設定で、付け加えるならば強くしっかりした大人の女性という部分も対照的。キャラクターの行動次第では、ラストの焼き討ちでセイエスと対立する(評議会側に立つ)ことを想定していました。
ちなみに「海と時計台」で登場したテオリアスは、ギリシア語theoriaから。アリストテレスの言う観想。観照。原意は「見ること」。
評議会長(オッジ&パーチェ・カイーチョ)
イタリア語でoggi=今日&pace=平和(peace)。既出ではありますが、某ファッションと映画批評に口やかましい、双子の漫才師から。ビジュアルもほぼあのとおりなので書くのは非常に楽でした。物語の骨組みのひとつ、「社会悪」の体現。真面目にやりすぎるとさらに重苦しくなりそうだったので、あえて軽いノリに設定しました。
このふたりがゴッドファーザー的な設定だったら、あらゆる意味で2003は別の物語になっていたに違いない。そういう意味ではすごい影響力をもつ人たちだったんだな。
オールフィシス
ギリシア哲学の用語、physis(フィシス/ピュシス。アリストテレスの『形而上学』で「(おのずから生成・変化するものとしての)自然」)から。 人の心と肉の身体を持つ精霊。自然に近しく、その分人間と対立する存在。けれどもマンドラゴラは、人なくしては生きられない。女神でもなく、人間でもなく、父の血を受けたゆえに妹ほど無邪気に人と接することもできず、苦悩する。大人には大人の悩みがあるといいますか。
救いをもたらすことを前提に生み出された=人工的な神。そういう意味でも、後世神格化されたミゼルとは対照的です。意外とイオと仲良くなったりしそう。
ソラ
ドレミファ「ソラ」シドの「ソラ」。最初マンドラゴラの妹たちは、音階の名前にしようと思っていたんですが、2002のシシュー家とかぶりそうだったので、和風の訓を持つ言葉(永遠、澪、和歌)に変えました。その名残。
《茨の聖母》オールフィシスが妹薔薇たちを支えてこそ、枝々でマンドラゴラたちは咲き誇ることができるのでした。生まれたばかりのマンドラゴラの髪が緑色なのは『グリーン・レクイエム』の影響です。
ロジオン
ギリシア哲学logos(ロゴス。ピュタゴラス派が求めた「この世の諸物の関係、論理、比」)から。でも今調べていたら、ギリシア語の「薔薇(ロドン)」に由来する洗礼名とか、ドストエスフスキイ『罪と罰』の主人公の名前(母国を分裂させるもの)とか出てきたので、トリプルミーニングぽくて良かったかと。
一世代前に神学と史学、人間とその他の生命、そして救いについて考え悩んだ末に、文字通り命を捧げた。ちなみに序章で「少女の手を引いていた黒づくめの男」はロジオンの弟でバウトの親友、ノエシスでした。誰も突っ込まなかったのでその後登場せず。
ハルハ・シーケンス
seaqence、連続するもの。3世代ごと枯れては生まれ変わる存在として。「忘れない」「変わらない(変わることが出来ない)」存在とはどのようなものか? ということをやりたくて、そのひとつの回答というか、在り方です。彼の人形化の力も、《薔薇の鍵》のひとつの力です。たったひとりの最期の想いを受けて咲いたがために、その(もういない人の)言葉に縛られていた、といえば聞こえは良いですが、その代償とばかりにした悪さを考えれば……。
「ハルハ」の名前は、一時2003の舞台をアラビアンに設定しようと考えていた時に、街(ミゼルド)の名前として考えていたもの。
《風霜の茨》
2002のエシャンジュに引き続き、書いていて、私はサドなんではないかとうっすら考え始めてしまった。
《風霜の茨》とは神格化されたミゼルに与えられた尊称です。ただその存在がミゼルドの歴史においてスキャンダラスであったため、《愁いの砦》への信仰と同一視され、次第に2神が融合していった……というのがミゼルドにおける女神信仰でした。

第7章|承前多重の岐路花咲ける庭受け継がれたもの薔薇色の道優しい歌マスターより