PBeM《ciel RASEN》 - 2005 : 第7章

マスターより

燃える闇、とキーを打ったらうっかり「萌える闇」になってしまい、ひとり癒されていたみやたです。
さて、お待たせしました。物語の結末は皆さんの願いによって(文字通り)紡がれました。《島》の崩壊進行中という状況でしたので、わりとスピーディーな展開です。なので、スピード感を反映して、コンパクトにまとまるかな……と思って書き出したら意外と長くなってしまいました。時間的猶予があまりなかった中、胎内と地上を行き来するような行動については厳しめに判定させていただきました。
ラストタイトル「この手を離さない」は、みなさんのアクション中に頻出していたワードをそのままです。離さなかった人、ちゃんと、つないだままになっているでしょうか。あるいは手を離してしまった人も、心はつながっていると思います。そんなことを意識しながらのラストシーンでした。

ラストについて補足(+ねたばれ)。
物語内で願いを叶えたのは、クラウディウスさん、それからリラさんです。
《大陸》への帰還にあたっては、4つのパターンが存在しています。
 (1)鳥に招かれた場面にそのまま帰還
 (2)《島》で過ごした時間をふまえて帰還
 (3)過去へ巻き戻して帰還
 (4)伝書鳩として帰還

※戻りたい場所が指定されていなかったキャラクターの場合はこちらで判断していますが、戻ったか戻ってないのかはっきりしていない場合、描写をしていません。最終章で「その後」を書かせていただきます。
※ロストしたキャラクターは、伝書鳩に招かれた場面に遡り、《島》での記憶を失って《大陸》で過ごしています。どこかでまろうどに再会すれば、記憶が蘇るかもしれません。
※髑髏の刻印は今のところ消えていませんが、《大陸》に戻れば痛みは消えます。

装飾品は、《大陸》に戻ると同時に外れたようです。ちなみにゲーム的には「心の鎧」という意味がありました。何人か、あててくださってたキャラクターがいましたが、謎解きを解説あるいは討論する場面を挟むことができず、物語中で明らかにすることができませんでしたのでこうして補足しておきます。ごめんなさい……。


ともかく。


いまあなたがいる場所は、あなたが望んだ場所ですか?


すべての参加者さま、キャラクターたち、本当にありがとうございました。ご意見・ご感想等お待ちしております。
願わくばまた《大陸》でお会いできますように。



この後の予定。

個別メッセージメール送信後になりますが、記念チャットの開催を計画しています。11月のどこかの週末になる予定かな。その後、本編後のキャラクターたちのエピソードを「最終章」として公開させていただきますね。時系列の処理とか仕掛けとか考えないと、なので詳細はしばしお待ちを。まずはPL用チャット《Cafe ELIXER》を開放しておきます。
最終章用のアクション受付期間は、上記チャットの日程とあわせて別途お知らせいたします。
それではまた《大陸》で。みやたでした。



登場人物のゆくえなど

 (1)レヴル姫→ローラナさんの赤ちゃんに 
 (2)ウィユ姫→《月光》と同化したまま白ワンコに(名前はアイメス) 
 (3)レオ→死亡。史実でも影武者として死亡
 (4)ティア→ルシカさんと一緒
 (5)マロウ→《大陸》のどこかの海へ
 (6)ジニア→《大陸》のどこかの街へ
 (7)ルー→アンタルキダスとして統一王即位

いろいろネタバレ(解題?)

白い伝書鳩について
伝書鳩、白い鳥、白い鳩、鳩の群れ、夜の闇を越えて飛ぶ白い伝書鳩。
境界線を越えて行き来する特別な鳥というイメージです。
そんなイメージがどこから来たのか。おそらくは、ノアの洪水の後、乾いた陸地を見つけた鳩のイメージが大元にあるような気がします。あとは例の(笑)白い鴉(by SoundHorizon『Chronicle 2nd』)でしょうきっと。
ふたりの姫君について
ウィユとレヴル、そのまんまのネーミング。フランス語で瞳と唇です。
人工の存在、欠損、会話以外のコミュニケーション、神になりそこねた存在……と、要素だけ拾えば「PBeM2003と同じ」です。スミマセン、今自分で書き出してあまりの類似に驚きました。PBeM2003と違うところ(より強化したところ)もありますが、物語の中で書ききれなかったので、ますます結果として「PBeM2003と同じ」に……(反省)。
第5章以降、人間らしさが少しずつ出てきたところで書きやすくなった人たち。ふたりでいるといつまでもいちゃいちゃいちゃいちゃしちゃって、(ヴァレリさんではありませんが)話が進まないんです。不完全な円、歪なまま回転し続ける運命の輪、迷宮で遊ぶ子ども、補い合う双子、とかそんなイメージ。
姫君どうしを引き離すことから、彼女たちの物語が始まります。彼女たちは「生まれなかった人工の希望」です。生まれていないため、死を弄ぶのです。綺麗な顔をしていますが、実体は、原始的で未分化・不定形の流体です(物語中では、燃える闇とか玉座とか表現してますが)。ぶっちゃけスライム。あっ、でも今度生まれてくるときはスライムじゃないと思います。
アンタルキダスについて
名前の由来は、世界史に出てくる「アンタルキダスの和平」(古代ギリシア史)から。アンタルキダスという人が使者となって和平交渉に赴くんですが結局失敗します。人名アンタルキダスの別読みで、アンティアルキダス。
さて、物語においてはある意味で偶像です。その点で、「人工的な神」と似ています。アンタルキダス本人が登場し、キャラクターたちと直接会話したり行動したりという場面はありません。誰かの記憶の中のアンタルキダス、あるいは、帝国史の中のアンタルキダスでしかありません。アンタルキダスを構成する要素は、3人の子どもたち(と呼ぶには中途半端な年齢ですが)だけなのです。
 レオ。新帝アンタルキダス(ルー)の影武者。
 ティア。アンタルキダスにならなかったアンタルキダス。秘匿されたルーの寵姫。
 ルー。ティアの代わりにアンタルキダスを演じ続けた、ティアの影武者。
 ※ルーとキャラクターの会話シーンが書けるとは思いませんでした。
《月光》について
神々が《大陸》を去ったのが千年前。身近にあった万能の大きな力が突然消えてしまったとしたら、残された人々はどうするのだろうか、とかそんなことを考えつつ、千年前の人物代表として登場させました。人工神創造計画に携わった研究者としての《月光》は、姫君の記憶にあったとおり姫君たち自身によって喰らわれ殺されており、胎内にいたのは、姫君たちが自分で生み出した《月光》の複製です。もっとも姫君がオリジナルの《月光》を喰らった際に彼女の記憶や思念も取り込んでいるため、オリジナルに近い思考を有しています。
が、オリジナル本人ではないため、キャラクターたちの推論を確定する役を担えなかった(反省) もう少しきちんと動かしてあげたかった人。私の力不足です。
ジニアとマロウについて
自ら動くことをやめた、受動的なマロウ。《パンドラ》殺しによって間接的に動かそうとしたジニア。大きな秘密(願いを叶える代償は人命あるいはそれと同格のもの/命を奪う武器は与えられている)を抱えたときに、人はどう動くのか、というようなことをやりたかった人たちです。誰だって自分の手を汚したくはない。それならどうするのか? マロウはすべて忘れて、秘密から距離を置くことを選択した人です。傍観者であり、逃げた人物です。ジニアは逃げはしなかったけれども、自分で選択もしなかった。代わりに他人に選択を委ねた人物です。ふたりは普通の人間で、それほど強くもないのです。
ふたりとも《大陸》に帰還したようです。びっくり。
《贖罪の島》について
まず、名前が浮かびました。
PBeM2005は人間ドラマ推奨だったので、なるべく、マスターがいろいろ考えなくても物語が動くようにしようと思っていました。すなわち、数々のキャラクターを(半ば自動的に)巻き込む舞台装置が必要でした。PBeM2003のときは、商業都市の一大イベントとして《ミゼルドの大市》という舞台を設定し、それなりに皆さん事件に首を突っ込んでくださいましたが、もっと強制的にキャラクター同士のフラグが立つような状況を準備しておいたほうが、ドラマとしてふくらむのではないか……というのが当初の目論見でした。他のキャラクターの設定や行動にも興味を持ってもらう、という点においてはいちおう成功したのではないかと思います。

1.あなたの望む道2.互いの領分3.惑いの旋律4.分かつもの5.もう一振りの剣6.この手を離さないマスターより