マスターより
最後の最後にお待たせしてしまいました。いろいろぶっちぎってしまい申し訳ありません。
長いようで短い全7章。物語はこれでおしまいです。最短一ヶ月程度、と約束されていたパルナッソス学術調査隊はその役目を終えました。皆さんの体感時間としては、10ヶ月近く。アダマスからの報酬の他、皆さんの手に載せられているものは何でしょうか。
マスタリング期間中いろんなことがありました。自分の作業の遅さにイヤになったこともありました。逃避もしました。悩んで悩んで、それでも楽しかったです。何故だろうと思って考えました。思い至ったのは、私は皆さんのアクションを読むのが――雑談とか推理とか迷いとかキャラクター設定とか、そして何のために何をしたいのかと言う決断を、見るのが好きなのでした。第7章では特に、どれだけ能動的な行動をとろうとしたか、という点に重きを置いて判定をしました。結果、描写量に差が出ていますがご理解をいただきたく思います。
ルドール曰く「語り得ぬものは沈黙しなければならない」。ウィトゲンシュタインの言葉です。私は哲学をきちんと勉強したことはありませんけれども、「世界は世界を構成するモノやコトを指し示す言葉によってしか語れない(松岡正剛氏による解説より)」という言葉と出会うことによって、すとんと理解することができたように思います。彼は(ルドールではなくウィトゲンシュタインは)こうも言っています。「私の言語の限界は、私の世界の限界である」と。今の私が書くことのできるもの、あそこはもっと違う風に書けばよかったという多少の後悔も含めて、書きたかったことを書きました。皆さんが参加してくださったおかげです。お付き合いくださって本当に本当にありがとうございました!
登場人物たちは皆それぞれ、調査隊出発前と変わったり、変わらなかったりします。
キャラクターたちもたぶんそれぞれ、変わったり、変わらなかったりしているはず。
今は、変わらないことも成長だと思っています。調査隊が解散した後、どんな道を選ぶのか。第7章で書ききれなかった人のことももちろん、「最終章」では書けたらいいなと思います。第7章ではアクション未着が2名でした。かなり心残りなんです! ぜひとも元気な姿を書かせてください。お願いいたします。
最終章について。
最終章とは、全7回のゲーム終了後、「その後のキャラクター」を描写するものです。通常のアクションと同じように、キャラクターの行動や気持ちを「最終章アクション」として提出していただき、こちらで小説形式にまとめて公開します。過去作では、卒業旅行を主催したり、舞台となった街に移住したり、諸国漫遊したり、家出した故郷に戻ったり、姿を消した仲間を追いかけたり見つけ出したりしてました。
通常のアクションと異なり、時間軸はいつでも可。第7章終了より数ヶ月後でも数年後でもご自由に、想像のまま書いてくださってかまいません。ただし小説形式にする上で、ある程度時間の幅をまとめて描写することがあります(一方その頃……て感じですね)。その他、不明な点がありましたらご相談ください。
もう一点。これも毎回行っております「終了記念チャット」について。
プレイヤー用雑談チャット+キャラクターイベントチャットを10月下旬頃開催しますのでぜひぜひご参加くださいませ。キャラクターチャットのほうはかるーくダイス判定有りなシナリオになる予定です。どちらか一方だけ参加でも大丈夫です。こちらは、最終章アクション受付期間と併せて別途告知させていただきますので、今しばらくお待ちくださいませ。
それでは……《旅人たちの街道》をとおり《大陸》に辿りついてくださったあなたに、愛された登場人物たち全員を代表して厚くお礼を申し上げます。願わくばまた《大陸》のどこかでお会いできますように。ご意見ご感想、お叱りも含めてお待ちしております。アカツキでした。
おまけ。
以前マスターよりで「ばらばらのものをわかりやすくまとめるスキル」について触れましたが、このスキルの名は! なんと「編集」でした。そうか……と、すごーく納得しました。ちなみにこれも、前述の松岡正剛氏の本を読んでいたら書いてあったのでした。
ネタばれ&登場人物解題
PBeM2007:Crusadeのシナリオを考えるにあたって、複数の対立軸を盛り込もうとしたのは第6章マスターよりでお伝えしたとおりです。実は参加募集を開始する1週間くらい前まで別のサブタイトルだったのですが、ある瞬間何かを受信し、Crusadeに落ち着きました。
Crusadeとは十字軍、そして聖戦を意味する言葉です。では、何が聖戦であったのか?
私が意図したゴールのひとつは、「前時代からの解放と勝利」でした。そのためのあらゆる想いと行動、すなわちアクションは、対立を解消するという点において聖戦でした。別の言い方をするならば、朝に向かってもがくすべてのキャラクターは、同じ時、同じ戦場で戦っている選ばれた戦士であって、彼らだけが物語という歴史に干渉し、未来を変えてゆくことのできる人々でした。
ということを踏まえて、各登場人物たちについての具体的な解説を。まず、大きくわけて登場人物は3つのグループに分けられます。
(1)親世代 :アダマス、ホールデン、グラファ、ルドール
(2)現世代(現役) :※PCはココ
(3)子世代 :ミルドレッド、クレド、グロリア
Crusadeは、子世代が親世代を超えていく=古い時代を新しい時代が塗り替えていく物語でした。PCは現世代として、子世代と親世代の間の立場から双方に影響を与えていくというのが基本的な枠組みです。ミルドレッドとルドールは共に現世代寄りという例外的な立ち位置にいました。
親世代はすでに現役を引退しています。「すでに未来を変え終えた」キャラクターのその後の姿です(PBeMの過去作に登場した誰か、というわけではありません)。親世代が現世代だったときの物語は、そのため酒場の与太話でしか語られないのです。
人間の部
- アダマス
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親世代代表。章が進むごとに人気がウナギ登りとなり「俺の嫁」宣言まで出るなどマスターをビビらせた。
子世代に対する父親像、現世代に対しては上司像の体現だった人。責任と判断の価値を説き、有事には優先順位をつけて対処する。こんな部下がいてはさぞかし上司は扱いづらかったに違いない。
名前の由来はギリシア語の金剛石(adamas−決して征服されない)。もっというとTRPG「Blade of Arcana」のアーキタイプから。しかし身内ではブレカナをプレイする機会がなく専らソードワールド。最近2.0に移行しました。
- ホールデン
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親世代その2。章が進むごとに出番が減っていった。
アダマスとは別の意味で上司像の体現だった人。居場所をなくした元英雄。過去の栄光にしがみつきつつ、現世代・子世代に対して口を挟む時だけは元気。平和になった《大陸》に彼のような人は生き辛く、それでも次の世代を認め、彼なりに導こうとしている。彼のやり方は往々にして新しい統一王朝では通用しなくなってきているのだけれど。
名前の由来は生物学者J.B.S.ホールデンから。彼の残した言葉「世界が朽ち果てるとすれば、それは驚異がなくなったときではなく驚異を感じる心がなくなったときだ」が、老勇士の性格の根底にあります。
- クレドとグロリア
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子世代代表。現世代に憧れ、彼らの行動を吸収し受け継ぎ、やがて《大陸》の担い手となる。
はじめは、やんちゃでませたところを前面に描いて調査隊の大人たちをひっかきまわす役どころとして設定していた。が、ティカさんがその役回りを演じてくださったこと、そしてカインさんがクレドを唆すというアクションが成功したことから、一気に物語の渦中へ。なお、兄弟神の器の人数が足らない場合はグロリアがミルドレッドの代わりとなる展開が待っていました。正直、どっちか死ぬと思ってた……ホッ。
キャラクターたちのやることなすことにツッコミを入れつつ「すごいなー」「かっこいいなー」と憧れてもらうことによって、キャラクターたちの居場所(立ち位置)を確保する役でもありました。
- ミルドレッド
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一応子世代、現役寄り。「親世代が子世代を支配するとどうなるか?」というところから、グラファ→ルドール→ミルドレッド、と設定を固めていって誕生した人。親に縛られた子には何ができるか? をストレートに書いてみたかったことから「破綻した性格の学者」になった。ルドールに育てられたらどんな子に育つだろうかと考え、相当嫌な性格にしたつもりが、よく考えてみたら定型どおりのツンデレだったと気づきました(笑) Crusadeは彼女が子世代から現世代へと成長する過程を障害とした物語、でもあります。
そして実は、一番最初のシナリオ案ではミルドレッドは男性(で、アーガイルという名前)でした。今思うと、バランス的に女性にしておいて本当に良かった。
名前の由来は、ルドールが先にあったので、そこからルとドが似てる名前、ってことで決めたような気がします。と書くと安易に見えますがすっごく悩んだ覚えがあります。
- ルドール(ドール)
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親世代、現役寄り。アダマスと社会的地位において同格でありつつ、決定的に違うキャラクターとして設定。
彼自身が、その親世代に支配された子世代。ほとんどすべての関係者に非常に複雑な感情を抱いているため、場面ごとに別人みたいになってしまいマスターは困りました。書きにくかった……そしてもっと書いてあげるべき人だったと思います。親世代の人なので彼に詳しく触れることはできないのですけれど。
父グラファを憎みつつ、娘ミルドレッドに憎まれていることを知りつつ(なぜなら自分がグラファを憎んでいるから)、グラファのおかげで自分が在ることを認めつつ、それゆえグラファの企みを阻止することが自己の否定へ繋がることから、「何も行動しない=判断を他者に委ねる、自分は責任をとらない」ことを選んだのがルドールです。
名前の由来は抗精神病薬ハルドールから。ミストがドールと呼ぶのは、るどーる、と言えなかったから。
- グラファ
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親世代。《朝告げる鳥》計画の実行責任者にして、子世代の運命を次々歪ませていった人。利己的で醜い、けれども裁くことはできない歪んだ障害。嫌悪を抱く存在とはどう書けばよいのか悩んで、こうなりました。
元々《朝告げる鳥》とは統一王朝復活前、「いくら待っても《大陸》に神さまが戻ってこないなら、俺が神のかわりになればいいジャン!」というグラファの、考え様によっては神官らしい、私利私欲に塗れた動機から生まれた計画でした。戦乱続く《大陸》を平定するために必要なのは敵うものなき武力、そして得た平和を永続させるための仕組みすなわち同族支配。ところが、どこの馬の骨とも知れぬランドニクスの少年皇帝が、あっさりと統一王朝復活を宣言したことにより彼の思惑は仕込み半ばにして狂っていく。「半ばにして狂った計画」つまり親世代の果たさなかった責任の尻拭いが、調査隊に押しつけられた任務となりました。
名前の由来は鉱物グラファイトから。ダイヤモンド(=金剛石)と炭素Cの同素体ということで。
人外の部
- カッサンドラ
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人間のことを知りたいと願う、白い豹の姿をした幻獣。居場所を与えられることによって力を発揮し、自ら答えを出すことができたとき、次の契約を求める。ちなみに、願いを叶えたりするような力は持っていない。契約主に対しては、外付け判断装置+不在時の自動応答装置として作動する。一種の英雄育成装置と思われるが詳細は不明。もしかしたらカッサンドラと同タイプの幻獣が《大陸》をさすらっているかもしれない。
契約主を失って行き倒れていたところをアダマスに拾われ、物語の序章へ至る。
ホールデンが「居場所を失った過去からの放浪者」であるのに対し、彼女は「自ら居場所を求め続ける放浪者」である。
名前の由来はギリシア神話の巫女・誰からも信じられぬ呪いを受けた予言者カッサンドラから。ちょっと不吉な意味を持つこの名からご想像のとおり、シナリオ原案ではルドールの配下に堕ち調査隊と敵対する予定でした。
- ミスト
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物語中最後まで謎に包まれていた、ルドールに従う謎の少女。本人は、何かのために生まれたことは感じているが、それが何なのかは知らない。
正体は、グラファが作り出した擬似的神格。つまり《朝告げる鳥》として《大陸》に降臨するはずだった、グラファのもうひとつの精神。グラファがミスティルテインを宿していたため、ミストも自在に炎を操ることができた。グラファは男性なのにミストはなんで少女なの、という点には多少グロい理由があります。想像してください。
どんなに醜く私利私欲に塗れた存在であってもどこかに人間としての善なる部分がある(=善を切り離したところでうまくはいかない)という、私のいつものパターンですねえ、解説してしまうと(ウッ)。PBeM2005だと二人の姫君にあたる存在。育成によって変化するというのも同じですね。引き出しが少ないといってしまうと身も蓋もないですが、キャラクターのアクションの成果を分かりやすく出してあげやすい形ではあります。
最もありそうだったバッドエンドは、神の器としてミルドレッドまたはグロリアが選ばれた結果儀式が成就し、ミストが破壊神《朝告げる鳥》として顕現、王都と聖地が炎上してミスティルテインご満悦という展開でした。
- ミスティルテイン
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《魔獣》。火山の精霊王。《炎湧く泉》に古代から眠る存在。人知の及ばぬ強大な力。
人間の手に余る純粋で強大な力そのものに、意思が(しかもわがままで子どもっぽい)あったら? というところから生まれた。キャラクターの行動の幅をアクションの結果として広げること、力と折り合いをつける過程を書いてキャラクターらしさを出すことなどがシナリオ上の役割。PBeM2005だと白い剣の力に相当する。
名前の由来は北欧神話のヤドリギの枝(Mistilteinn)。ロキを倒した剣。
- スィークリール
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かつて人間であったらしい、からくり犬。何かの秘密兵器と見せかけて、ただのからくり犬です。ホールデンや彼の愛犬メランコリイと同様、スィークリールの物語も過去のもの。スィークリール活躍を期待してくださった方には申し訳ない。
- 三柱の兄弟神
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基本的に、《大陸》の人々が頑張って生きようとしている限り、広い意味で見守ってくれているらしい。
PBeM2001以来の兄弟神登場、ただし音声のみで、本物かどうかは誰にもわからず、その証拠も残っていない。幻覚かもしれない。その時その場所に居合わせた者だけが声を聞き、何かを感じたということ。その結果《大陸》で何かが変わるかもしれないし変わらないかもしれません。それくらいの小さな出来事です。彼らは、前に進もうとするものを祝福します。
1.朝告げる鳥 | 2.夢見る石 | 3.想い育てる樹 | 4.続く道 | 5.幕間〜からくり犬は見た�供� | マスターより
